手織逸品

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正倉院楽器文「螺鈿紫壇五絃琵琶」

東西文明の宝庫、それが正倉院であり、シルクロードの終着駅が正倉院でした。天平勝宝八歳(756)五月二日聖武天皇が崩壊され、その四十九日の忌日に当たる六月二十一日、光明皇太后は天皇の御遺品である袈裟、書跡、服飾品、楽器、遊戯具、刀剣、鏡、屏風その他六百数十点の品を東大寺の本尊盧舎那仏(大仏)に献納して天皇のご冥福を祈られました。これが正倉院城主の端緒となった最初の献納であります。
この度、服部織物はその最初の献納品の中から『螺鈿紫壇五絃琵琶』に題材を求め制作致しました。この琵琶は正倉院の楽器としてとくに著名で五絃の琵琶としては世界で唯一の遺品であり貴重な存在であります。表面の撥受けの部分に玳瑁(たいまい・海がめの一種)の甲羅を張り、その上に螺鈿で胡人風の人物が駱駝に乗り琵琶を弾きながら熱帯樹の下をよぎる回をあらわした装飾は西方の文化を取り入れて国際的色彩に富む唐代の文化的雰囲気をよく伝えています。

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